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ここ京の都に白い虹がかかり、それに続いて様々な変事が起るので、人々は不安な思いにとざされていた。時の天皇朱雀帝は人心が乱れていることに心を痛め、天文学者加茂保憲に中国の秘伝書金烏玉兎集を解読し変事の原因をつきとめるよう命じた。保憲には阿倍保名、芦屋道満の二人の高弟があったが、養女榊の前を愛する勤勉な保名を保憲は加茂家の跡継ぎにと考えていた。一方、保憲の後室と通ずる道満はそのことを知り、秘伝書の解読を終えて御所に参上しようとする保憲を家来悪右衛門に暗殺させ、秘伝書を奪った。その上、罪を保名と榊にきせてしまった。無実の罪をきせられた榊は苦しみのあまり自殺、愛する榊を失った保名は発狂し、後室を斬りすて秘伝書をとり返したまま榊の面影を求めて流浪の旅に出た。数日後、榊の故郷信太の里にたどりついた保名は、榊と瓜二つの妹葛の葉に出会った。榊の面影を宿す葛の葉の看護を得て、保名は狂った心のうちにも幸せを感じたが、葛の葉もそんな保名に恋心をはせるのだった。だがこの幸せも長くはなかった。白狐狩りにやって来た悪右衛門は保名を発見し、白狐を逃がされた腹いせもあって保名を滅多打ちにしたあげく、葛の葉を連れ去った。傷ついた保名を救ったのは、彼に助けられた白狐だった。白狐は娘狐を葛の葉に姿を変えさせ、和泉の森深くで保名を看病させた。狐葛の葉は保名を慕い、保名も狐の化身とは露知らず狐葛の葉と契りを結んだ。その頃、悪右衛門の手を逃れた葛の葉は、保名を尋ねて和泉の森へやって来た。そこで正気に戻っていた保名にめぐり逢った葛の葉は狂気して保名の胸に泣きくずれた。何も知らない保名は驚いた。こんな二人の様子を見た狐葛の葉は、恋の終りを知り静かに眠る我が子の枕辺に和歌を詠み残すと姿を消した。すべてを知った保名は、狐葛の葉を悲しく呼びつづけた。そこへ保名の持っている秘伝書を奪おうと道満、悪右衛門一味が押し寄せたが、保名を守る白狐の化身にたおされた。折も折、保名の無事が証明されたという報せを持って都から使いがやって来た。喜んだ葛の葉は保名に都へ帰ることをすすめたが、保名はこの森に残る決心をし葛の葉に別れを告げるのだった。...